音楽って何だろう その1 周波数
 よく音楽の3要素はメロディー(旋律)、ハーモニー(和音)、リズム(律動)、などと言われますが、本当にそうでしょうか。
 私は、割と早い時期から(80年代)コンピュータを使って作曲していますが、ある音をコンピュータが認識するのは、基本的に数字なのです。その要素は、ピッチ(音の周波数)、強さ(本当はピアノなどの鍵盤を押すスピードですが)、長さ(その音をどのくらい延ばすのかという数値)が主なものです。どうも、これらが音楽に深く関わっている、という思いが強まっている今日この頃です。コンピュータで音楽を作る時他にも色々数字が出てきますが、全てこれにまつわるものと言って良いと思います。
 先ず、ピッチというのは、専門的には、音の周波数(1秒間に何回振動するか=それで音の高低が決まります。)の単位の、ヘルツで表されます。例えばピアノを調律する時私たちは、よく「440でお願いします」などと言うのですが、この意味はピアノの真ん中のドより白鍵で三つ左にあるラの音を(正確にはA音 、とかハ音とよばれています。真ん中のドは小文字のc音、1点ハ音です。詳しくは何処の会社のでもいいですから「楽典」という本を見て下さい。)440ヘルツで調律して下さい、という意味なのです。
 昔、誰かが、そのラの音を440ヘルツにしようや、と決めたんでしょうね。(本当は、音楽の学会で音楽学者が決めたのです。)因みに1オクターブ上のラは880ヘルツ、さらに1オクターブ上のラは1760ヘルツ、となって2倍2倍していけば、オクターブ関係になります。ということは、さっきのラのオクターブ下は220ヘルツですね。もう少し余談ですが、じゃあ3倍した音は何か、と言うことも気になりませんか。これは1オクターブと完全5度上のミ。4倍は当然2オクターブ上のラ。5倍は2オクターブと長3度上のドのシャープ。6倍は3倍の音の2倍だから2オクターブ上のソと言う具合になります。これを倍音と呼んでいて、ピアノの調律士さんは、倍音の整数倍の音から調律を始めます。最初は2倍の2倍の、、、、、というオクターブ関係、次は3倍の2倍の2倍の、、、、、という完全5度関係、次は5倍の2倍の2倍の、、、、、という長3度関係、と言う風にやっていきます。彼らは出鱈目にやっているのではなく、ちゃんと科学的な裏付けでやっているのです。すごいですね!
 ところで、ドの4倍5倍6倍の音を見てみると、これが何とドミソなのですね。某、ピアノがあまり売れなくなって、それじゃ、と音楽教室に力を入れれば楽器が売れるだろうと、さかんにテレビで子供たちにド、ミ、ソ、 ド、ファ、ラ、と歌わせている楽器製造会社のコマーシャルに出てくるド、ミ、ソなんです。(今はこのコマーシャルさえやっていません)だからドミソというあまりにも有名な和音も、整数倍のピッチの中に出てくるので、人間の耳に心地よく響くのでしょうね。すごいですね。
 ジャジャーン、これを、専門用語で「倍音列」と呼んでおります。
 楽器によって音色が違うのは、波の形が違うからです。オシロスコープという、音(空気の振動の様子)を目で見ることができる機械があるのですが、それで見るとよく解ります。今なら中学校や高校もお金持ちになったので、理科準備室にもしかしたら有るかもしれません。私たちは録音の仕事でスタジオに行くとよく見かけますが面白いですよ。波の形が綺麗だから音も綺麗かというと、そうでもなくて、あまりに綺麗な波の形の音は聞いていて味気のないものです。それなりに崩れた(語弊がありますが)波のほうが心に訴えかけてきます。
 なんだか、人間に似てますね。
 ということで、一つの楽器での演奏でも、沢山の楽器の合奏でも、ピッチが揃っていれば、綺麗な倍音が聞こえて人を心地良くさせてあげられます。勿論波の形の違いで(個性)そこに、えも言われぬ良いブレンドが出来たりすると、もう桃源郷ですよね。
 これは人間「関係」に似てますね。違う個性がお互いを活かし合うことで良い成果を上げたり、心地良い生活空間を作ったり、 と言うことです。
 音楽は奥が深いですよね。
その2は音の強弱の話です。

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