アメリカツアー面白話 17

 毎日朝が来ると青空(雲が見えない)で涼しくて日向に出さえしなければ過ごしやすいLos Angelsの初冬は良いですが、やっぱりこんなところに住んでいたらちょっと違う人間になってしまうかな?と言う不安は出てきます。
 さてケニーさんのグループでLos Angelsの校外の(結構車で走ったかな、、、)Pomonaというところの大学でのコンサートが相変わらずの絶賛の嵐の中で終わって、招聘してくださった教授(日本人の女の方でした)が学生との懇談の茶話会を用意していてくださいました。学部長は私と同年代の白人の男の人で、一生懸命日本語を話していて、良いやつでした。茶話会に集まった学生の中で日本からの留学生と、日本語学科の白人の学生が私たちに積極的に話しかけてきました。「どうしたら音楽と自由な精神で対峙できるか?」「日本でジャズを勉強する事は可能なのか?」「日本的な事とアメリカ的な事は融合できるのか?」など若者らしい質問が出て答えているうちにこちらからの質問もぶつけてみました。なんと言ってもこの大学の施設が素晴らしいし、さぞやお金がかかるだろうな、という思いがあったので、私は「学費は高いのじゃないの?どうしているの?」とついつい親の目線の質問になってしまいます。「よっぽどお金持ちの家庭なの?」と突っ込んだ質問もしてしまいます。ところがところが、留学生も白人の男の子も異口同音に「ローンを組んでいます」と言うではないですか。「この大学の授業料はものすごく高いです。でもここでしか学べないことがあるし、親はお金が無いので私はローンを組んで卒業したら返済することになっています。」「どのくらい借りるの?」「10万ドル(当時の為替で1千2百万円)くらいです」「ええええええ!じゃあ返すのは大変じゃないですか!」「そうです。だから一生懸命勉強します。そして待ったなしで給料の良いところで働けるように努力します」(留年は出来ないのです!)「そうかそれの方が良いよね!」アメリカは医療も教育もお金がかかりますが、勉強したい学生にはほとんど無担保でものすごいお金を貸してくれるのです。志があればチャンスを無条件に与えてくれる社会なのです。そして学費が高いのは質の良い教育を提供するからなので、誰も文句を言わずに当然のこととして学費を払って一生懸命勉強しています。こういうのを好循環と言うのではないでしょうか。
 そんなこんなで、いよいよ最後のコンサートの日になりました。Little Tokyoの外れにある、Aratani/Japan America Theatre (日米劇場)でのコンサートです。ここはある意味では日本の歌謡界の縮図の様な劇場です。Los Angels在住の日本人や日系人のために日本の伝統音楽や日本で流行っている音楽や芸能を沢山上演してきています。古くは 美空ひばり、私が行ったときは夏川りみ、最近では和田アキ子がコンサートをしています。客席は横に広く、良くテレビで見る「グラミー賞」などの会場の客席に似ています。アメリカの何処のホールもそうですが、搬入口は大きく、外からの段差は無く、舞台袖も大きくとってあります。舞台の「裏方」さんが働きやすい事を最優先しています。日本では新しいホールでもやたらに階段が多かったり搬入するのにくねくね長い距離を移動したり、搬入口に大きな段差が有ったり、、、ナットラン!!! 
続く

 

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