・まずは、このユニットを組むまでのいきさつ、流れをお願いいたします。

 赤木さんとはもう25年以上のお付き合いになります。ライブ、録音、コンサート等色々な場面で共演することがありましたが、決まったユニットで共演するのは今回が初めてです。その切っ掛けになったのが、古川麦です。彼が高校2年生のときボサノバギターの演奏を聴いて、この子とはいずれ一緒に音楽を作って生きたいと思いました。そのときたまたま赤木さんとリハーサルしているときに彼が遊びに来ていて、3人でセッションしたのがすごく良くて赤木さんも気にいってくださって、5年越しでやっとユニットを組めました。というのも古川が大学を卒業するのを待っていたのでした。

・ユニット名、そしてアルバムタイトルにも付けられた「Quiet Triangle〜静三角形〜」の意味、想いとは?

 もちろんQuietはこのユニットのテーマです。山内直樹さんにプロデュースをお願いするときも、このテーマを前面にだして古川麦との演奏を聞いてもらいましたし、その後フルートが入った演奏で更に三角形の持つ神秘性、堅牢性が加味されて、もう何も悩むことなくQuietと Triangleという言葉が出てきて、なんとそれが語呂合わせのように「セイサンカッケイ」になっていました。私はQuietこそが一番強い力があると思っています。

・3人揃って音を出してみた時の印象は?

 3人が共演する機会を与えてくださったのが富良野でのあるイベントでした。そのときの演奏も素晴らしかったのですが、それ以上に初めて3人で共演しているとは思えないほどそれぞれの気持ちが寄り添っていたのに驚きました。「まるで何年も前から一緒に演奏してきたみたいだね」というのが3人の共通した感想でした。その後コンサート等共演する機会があるたびにその気持ちは強くなりました。長年音楽をやってきましたが、こういうことはなかなか無いことです。このチャンスは逃す手はないと1年半ほど密に3人で音作りをして録音に臨みました。録音の準備にこれほど時間をかけるのも最近珍しいことです。

・ 今回のレコーディングで、特にこだわった点などございますか?

 自然な音が取れるか。それにフィードバックされる様に自然な演奏ができるか。そしてできるだけ同時に演奏した環境を記録できるか。ひいては人間の営みとしての音楽が記録できるか。と言うことに気をつけました。このことが演奏者とプロデューサーの山内さんの間で一致したのでなお更良さが相乗されたのだと思います。

・オリジナル曲に加え、カバーも収録されていますが選曲のいきさつなど。

 いずれも長いことライブ等で暖めてきた曲です。曲によっては20年熟成したものもあります。曲のタイトル云々よりも、曲想が大変気に入っています。とは言っても「蘇州夜曲」は昭和15年に渡辺はま子が映画の主題歌として歌って大ヒットしたのですが、当局から退廃的、感傷的とみなされ発売禁止になった、というエピソードも大好きです。結果として「Night Lights」がオリジナルをしのぐ好演になったのも予想外の喜びでした。

・今後のQuiet Triangleとしての活動は、どういった方向へ進んでいくのでしょうか?継続的になりそうですか?

 もちろん継続しますが、今後はメンバーそれぞれの作品を取り上げたいです。特に古川麦の作品はQTにとってある種の「世界」を作って行ってくれる予感がします。浜田にとって音楽人生終盤の記録を残すユニットとしてベストなものになりそうです。古川はこのユニットを利用して静の力強さを表現してほしいです。そして赤木さんには多彩な一面をこのユニットで出していただけると嬉しいです。