音楽って何だろう その34
 富良野交流コンサートが終わって、中学3年生の人達は受験の為にE音会の活動はお休みになりました。以前も書きましたが、ハンドベルクラブはこの時最高の水準でしたので、大きな痛手ではありました。でも皆ちゃんと目標と希望を持って受験に立ち向かうとのことで、むしろ「7月まで良く頑張ったね」と言う気持ちが大きかったです。どんな応援でもしてあげたい、と思いました。
その後、E音会は地味でも、逆に地域に根ざした活動が続くことになります。因みに列挙してみると
1999年
 10月源氏前小学校家庭教育学級。クリスマス時期に葉祥明美術館・一本橋保育園・養護施設「むらさき愛育園」でのコンサート・そして自主コンサート、
2000年
 1月戸越小学校でのコンサート、2月八潮北小学校家庭教育学級、4月「手作りフェスティバル」6月八潮小学校家庭教育学級、8月品川教会でのコンサート、9月NNGコンサートに参加、10月「夢桟橋」に参加、11月NNG「地雷撤去」の集会での演奏、クリスマスシーズンは、西五反田保育園・東五反田保育園・森岡万貴さんのコンサートへの賛助出演
 と言う具合に、大きなステージは無いかわりに、地域(品川区も含めて)の人達の目や耳に触れてもらえる演奏の発表が殆どでした。その間に、お休みしていた中学3年生達は見事に希望していた高校に進学できて、本当に我が事の様に嬉しい思いをしました。又、森岡万貴さんの功績は実に大きいものでした。お友達のオーボエ奏者の関水萌さんを何回かゲストで呼んでくださって、そのとろけるような音色を堪能させて頂きました。そして、E音会の発表の場を何時も気にしてくださって、何かチャンスがあれば必ず推薦してくださいました。上に書いた中で、森岡さんに関係したものは、3回有ります。実現しなかったのも含めるとかなりの数のオファーをしてくださいました。2000年の最後に森岡さんのコンサートのお手伝いが出来てE音会としても大きな喜びでした。ここに、あらためて感謝したいと思います。
 E音会ハンドベルクラブの活動を、富良野までを前半と考えると、クラブとして立ち上がってから何とか多くの人に認めてもらう為に、少し背伸びした活動でもガムシャラに乗り越えて来た時期だと思います。富良野以降の後半は、保育園・学校・養護施設などの演奏に象徴されるように音楽の楽しさ・喜びを通して沢山の人と交流を持つ事に主眼が置かれていると思います。
 子供達の本音は、今までの様子を見ていると、多分、大きな晴れやかなステージでの演奏をしたい、と言うものでしょう。じゃあ、その為に日常的に何かを積み上げて来ていますか、と言うのがこちらからの問いかけになります。
○ 自主的に積極的にクラブに関わっていますか?(クラブとはそう言うものです。学校のように上から教え込むものではありません。お教室ではないのです。)
○ 音楽をする楽しみ喜びを見つけようとしていますか(演奏する人はそれを与えてもらうのではなく、自分でつかみ取るものです)
○ クラブの人達と交流を持とうと(仲良くしようと)していますか。(良い音楽を皆で作る為には絶対必要です)
○ 大きな晴れやかなステージで演奏するために、色んな人にクラブの事を広めていますか(突然やるから来て下さい、と言っても誰も来てくれません)
○ 自分のやっていることに誇りを持っていますか(誇りと自信が無いものを人前で発表してはいけません!)
○ お手伝いして下さっている大人の人達に感謝していますか(音楽に限らず、自分が何か出来ているというのは、必ずそれを支えて下さっている人がいるのです。固く言えば、それが社会です。 増して子供は支えられる事だけで生きているのですから、子供に出来る事は感謝する事だけです。「大人」は親や先生とは絶対違う人達です。E音会の「大人」も子供達と一緒に何かを達成する楽しさ喜びを分かち合いたいからやっているのです。自分の子供でもないのに伊達や酔狂で子供達の面倒を見ている訳ではないのです。親は我が子だから、先生は仕事だから子供を支えていますが、E音会の「大人」はそのどれでもないでしょう。本当は大人だけのクラブならば皆で分担しあうものを、子供も仲間だからその肩代わりをしているのです。そうまでして、子供達と何かを一緒にやって行こうと思うのは、大人と子供の良い関係を作りたいからです。そう言う良い関係を順繰りに作って行きたいのです。なぜなら、やがて子供は大人になるからです。)
 今、将にE音会は6月のアブラミアン弦楽四重奏団とのジョイントコンサートに向けて半年かけて準備してきました。そして、コンサートの準備を始める前に子供達とハンドベルクラブをどうするのか、ミーティングを持ちました。この「音楽って何だろう」でご紹介してきた様に、前回までは、晴れやかな演奏の場ばかりでした。その後は前者に比べれば「地味な」活動になっています。子供達は、どうしてハンドベルクラブをやっているのか分からなくて続けていたり、何も考えないで続けていたり、様々なのでしょうが、上に書いた問いかけのどれかが原因で止めていった子供もいます。このまま惰性でコンサートをやっても良いのだろうか。そして、このままの状態でハンドベルクラブを続けていっても良いのだろうか。悩みました。上の問いかけのどれかにでも子供達が答えてくれていれば、「大人」達の大変な作業も報われますが、このままでは、かえって逆効果なんじゃないだろうか。物好きな大人のサークルに「ちょっと」参加している程度にしか思ってないとすれば、E音会の目的からはずれてきているのではないだろうか。色々考えました。
 ミーティングでは、子供達一人一人から自分とハンドベルクラブとの関係をどう思っているのか聞いてみました。その時「大人」達の意見も子供達に聞いてもらいました。伊達や酔狂で、、、の件は、何処まで子供達に伝わったのかは分かりませんが、子供達からは「ハンドベルをやり続けたい。やっているのが楽しい。アブラミアン弦楽四重奏団とのコンサートは是非頑張って成功させたい。」と言う答えが返ってきました。これから急に子供達が変化するとは思えませんでしたが、3年間色んな事を一緒にやり遂げてきた仲間です。それならば、ということで、「大人」の思っていることを分かってもらって、そして子供達が自分とハンドベルクラブの関わりをもう一度問い直す事で、日常の取り組みが良いコンサートに結びつくんだ、という経験をもう一度してもらうことにしました。
 我が子の日常を見ていると、良く分かりますが、子供は直ぐ忘れます。その時納得していても忘れるときは忘れます。特に自分にストレスのかかる事は直ぐ忘れます。でも、それが正常な姿なのだと言うのが心理学的見解らしいです。そうしないと、精神的ストレスというウィルスに冒されるからだそうです。忘れることで脳細胞が活性化して成長を促進するのだそうです。私も「どうして何回言ってもこの子は駄目なんだろう」と毎日思っています。でも親は諦めずに何度でも言うのが努めなんだと思っています。
 その意味では、E音会の大人の人達は何か気になる事があっても、我が子ではないと言うところで日常的に言ってあげられない、その子の性格がはたして見たとおりなのか、安易に何かを言って傷つけないだろうか、かといってこのままでクラブを続けても何にも達成感が無く子供との交流もうやむやである。そう言う我が子ではないが故でのストレスがつきまといます。本当に「伊達や酔狂、、、」じゃなく、子供と大人が協力しあって何かを作り上げていくと言うのは、今更ながら大変だな、と思っています。
 取りあえずは、子供達とのミーティングから4ヶ月過ぎていますが、子供はやっぱり子供だな、と言うのが正直な所です。6月のコンサートの後、ハンドベルクラブの存続の問題も抱えているE音会です。次回はその辺の所ももう少し考えます。
 続く。       
           

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