音楽って何だろう その33
 ケッサクな交流パーティーの最後は皆で花火をして楽しみました。緊張から解放されて、この時の子供達のはしゃいで楽しそうな顔は忘れられません。二泊の旅行とは言え親元を離れて心細かった子供もいたと思います。花火の時の笑顔を見て、少し安心しました。
 次の日の午前中は、小田嶋さんの会社が運営する「麓郷の森」での演奏です。交流コンサートは、どうなることか予想が付かなかったのですが、ここでの演奏は私がイメージしていた通りのものになりました。正夢ならぬ「正想像」でした。
 この日も朝から抜けるような青空の元、市内から車で20分くらいの行程を「麓郷の森」に向かいました。市内のはずれから麓郷に向かう道は丘陵地帯に向かって川に沿った緩やかな登り道です。木々のトンネルの中を走ります。どこもかしこも、太陽の光が演出する、何気ないのに思いがけない風景の中を走って行きます。いざ「麓郷の森」に入ると、木々の葉が強烈な太陽の光を浴びてキラキラ光り、風にそよいでいます。日曜日なのでお客さんも多いです。大きなログハウスの壁をステージの背景にしての演奏ですから、前日の様に音が飛び散って行かないどころか、絶好の反響板になって素晴らしい音色が森中に響いていきます。長年の夢だった、富良野の為の曲を「麓郷の森」で演奏する、しかもE音会の人達の演奏で聞ける、というのがやっと実現したのです。
演奏が始まると、どんどん人が集まってきて、楽しそうに聞いてくれます。葉祥明美術館や恵比寿ガーデンプレースでの聴衆と全く同じで、マナー違反も無く、演奏する方も和やかな気持ちになれて最高の演奏が聴けました。と言うのも、この時私は司会と演奏のサポートと言う裏方をやっていましたので、一聴衆として演奏を聴くことが出来たのです。演奏する場所の条件さえ良ければ、この時点のE音会ハンドベルクラブは、最高のレベルだったと今でも思います。
 司会でお話する時以外は、私は小田嶋さんと二人並んで演奏を聴いていたのですが、小田嶋さんが最後の方で「今回の事は今日のこの演奏の為にあったんだと思えてくるね」とボソッと言ったのが全てを語っていると思います。勿論、E音会ハンドベルクラブが富良野に来た目的は、富良野の人達との交流コンサートをするのがメインなのだけれども、リラックスした良い演奏は実は状況に左右されるもので、付け足しの様に思われている「麓郷の森」での演奏の方が良い結果を生んじゃったね、ということを言っているのです。大上段に振りかざして何かを追い求めても色んな条件で上手く行かないことが多いのに、リラックスして普段の感性で行動している方が良い結果を生むということなんでしょう。まるで、メーテルリンクの「青い鳥」のお話と一緒ですよね。かく言う私も分かっているのに変に力んで演奏を駄目な物にしてしまう事が多々有ります。悟りの境地になかなかたどり着けないですね。
 演奏が終わったら、「麓郷の森」特製カレーライスを振る舞われて(これが本当に美味しいですよ!!!!)少しのんびりして、札幌の空港に行くまでの3時間ばかり、富良野の人達の御好意で丘陵地帯やラベンダー畑などを案内して頂きました。
 私は、その間しばし現実世界に引き戻されて、金銭の残務整理を小田嶋さんと日里さんと三人でやっていました。ちょっと話の行き違いが有って、10万円程のお金の使い道で食い違いが有ったのが発覚して、私はラベンダー以上に青ざめていました。(ラベンダーは紫か、、、)でも、もうこれ以上富良野の人達にご迷惑は掛けられないので、E音会が頭割りで負担することにしました。結局金額にして、E音会のメンバーの負担は一人頭4千円程の増額になってしまいました。私としては、何だか後味の悪い事になってしまって、皆さんに謝って了解して頂くしか有りませんでした。この場を借りてもう一度謝らせて頂きます。軽率な判断でE音会の皆さんに多大な迷惑をお掛けして申し訳有りませんでした。
 と、いうことで何事も無かった様に「E音会富良野交流コンサート」は終了しました。
改めて引率の大人の人達に感謝いたします。 続く。       
           

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