音楽って何だろう その31
 E音会の皆さんが富良野に到着したのは、午後10時くらいになってしまいました。平日(金曜日)の学校が終わってから東京を出発して、札幌からバスで富良野に入ったので、こんな時間になってしまいました。小さい子には可哀想な事をしました。旭川空港に降りていればもう少し早かったのですが、これには事情が有りました。
 私たちはよく「アゴアシ」という言い方をしますが、演奏旅行では交通費と宿泊費をどうやって少なくするか、が大きな問題です。予算は少なく、快適に!が演奏旅行の心得です。「快適」を目指して、3月頃から、旭川空港を利用する為に色々富良野の人達と画策しましたが、7月はいわゆる「シーズン」と言う時期になって、どうしても安い航空券が人数分手に入りません。それこそ八方手を尽くしましたが駄目でした。これはもう、E音会の人達に泣いてもらおうか、と思っていたら、小田嶋さんから「札幌に降りれば安いんだけど、どうする。」と連絡が入りました。「札幌からのアシはどうするの?」「それが、マイクロバスが借りられるんだ」私はこの際、予算を少なく、の方を選ぶことにしました。「じゃあ、それにしましょう。」と手配してもらう事にしました。
 まあ、小田嶋さんの仲間には、観光関係のお仕事をしている人達が沢山いるので、てっきりそのあたりのマイクロバスを借りるんだろう、と思っていました。ところが、後日もう少し詳しい打ち合わせをしていると、どうも、マイクロバスの料金が有って無い様な事を言っているので「観光バスなんでしょう?」「いやいやそれが、ロータリクラブに葬儀屋さんが居て、そこのを借りるんだ」「!!・・??」「ほら、よく焼き場に皆乗っていくヤツだよ。」「なるほど!」
 と、言う訳で、E音会の人には今だからうち明けますが、皆さんが移動に使っていたマイクロバスは、実は葬儀屋さんのバスでした。ご免なさい。
又、宿泊施設は「北の峰学園」と言って、知的障害者の施設が運営する所です。客室のまかない、食事の世話等々は職員と一緒に入所者の人達もやっています。そして、ここの園長先生が私たちの趣旨に賛同してくださって、破格の料金で泊めてくださいました。ちょうど、E音会のメンバー全員泊まれて、大広間が有る建物を自由に使って良いよ、ということで貸して下さいました。おかげで、合宿を兼ねた演奏旅行が出来ました。でも、その為に中学2年生の子達が夜中遅くまでおしゃべりをしていて、職員のヒンシュクをかってしまったと言うことが有りました。反省!!!
 さて、そのころ東京は梅雨末期特有の、じとじとした雨降りなのに、富良野の天気は最高でした。昼は乾いた空気を通して有り余る太陽光線が降り注ぎ、夜は何かを羽織っていないと寒いくらいです。まるで、私たちを歓迎するように滞在中は良い天気です。交通費で苦労しましたが、やはり、この時期を選んで正解でした。
 日程的には、ちょっときつかったと思っています。土曜日の夕方演奏して、そのまま交流会、日曜日は午前中「麓郷の森」で演奏。そして、夕方の便で札幌から帰る。という事で、遊べるのは土曜日の午前中と、日曜日の午後しか有りません。日曜日の午後は富良野の人達にお任せしてありましたので安心でしたが、土曜日の午前中は自由行動にしてありましたので心配でした。でも、引率を引き受けてくださった、中野さん、名倉さん、青山先生、山畑先生が実に的確に子供達のお世話をしてくださって、遊び、昼食、はスムーズに運びました。あらためてここでお礼申し上げます。そして、東京では保護者の方達が緊急の連絡が有った時の為に待機してくださっています。これほど心強い事は有りませんでした。有り難う御座いました。
 土曜日の午後からは、リハーサルです。本当に合宿しているような練習が出来て良い時間を持てました。いつもは、土曜日の2時から4時過ぎまで、と言う限られた時間であたふたと練習していますが、良い意味でのんびりと練習出来ます。そして、ちょっと窓の外を見ると東京では味わえない風景が見えて、開いた窓からは爽やかな風が入って来ます。練習していても、自ずとぎすぎすした気持ちにはなりません。本当に環境は大事ですね。  

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