音楽って何だろう その24
 

 さて、E音会「きゅりあん」コンサートの成功のおかげで、同じような内容で、小田嶋さん(オフィスフラノの社長)プロデュースの「心に響くコンサート」を、その年の9月に東大和で、そして、次の年の2月に、富良野で行いました。予算の関係で、E音会ハンドベルクラブは参加出来なかったのが残念です。その代わり、小田嶋さんが、素晴らしい企画を考えてくださいました。次の年の初夏にE音会ハンドベルクラブが、富良野に行って、交流コンサートをしましょう、というものでした。私は一も二もなく「是非お願いします」と返事して、少しずつ八潮と富良野で準備に入る事になりました。交通費、滞在費、等々考えるとなかなか大変な事ですから、実現するには時間と「仕掛け」を考えなくてはなりませんが、実現したらなんて良いんだろうと思いました。
 そんな折りも折り、良いことは続くと言いますが(まあその反対もあります)、私がお世話になっていて、イベントの企画・仕込みを主にやっている事務所から、12月恵比寿ガーデンプレースの特設ステージで演奏しないか、と言うお話を頂きました。勿論私にでは無くハンドベルクラブにです。実際には、クライアントが何件かエントリーされる中から選ぶので、直ぐはっきり決まると言う物ではありませんので、しばらく話半分という感じでした。さらに、葉祥明さんから、鎌倉にある葉祥明美術館で11月25日からクリスマスの飾り付けが始まるので、「その下で演奏したら良いんじゃない」と言うお誘いも頂きました。嬉しい話ばかりです。良い物を人前で発表すれば、こんなにリアクションがあるものなんだな、とあらためて思いました。
 ところが、E音会「きゅりあん」コンサートが終わった後、E音会に変化が有りました。やめて行く人、気が抜けて練習に来ない人、等々で7月の定例会の子供の参加者は、一人という事態になってしまいました。「やっぱり、大きなコンサートをするには、時期尚早だったかな」と思いました。一つの事を成し遂げた後、何かしら「燃え尽き症候群」というのは発生するものですが、こんなに極端なのは初めてでした。会費を取らない、各人の自由意志に任せて規則も無い、ただ大人と子供が音楽を楽しむ為に定期的に練習している、こんな緩やかな組織だからこの様な事態になったのだと思います。私は逆に「これで良いのだ」と思いました。「大人と子供が音楽を一緒に楽しむ事で知り合いになろう」と言う目的が、何時のまにか、会(組織)の維持と拡大と言うことに主眼が置かれてしまう様な逆転した意識になるのだけは嫌だなと思っていました。世の中のどんな組織・団体も何時も、そのジレンマにたたされて居るのです。営利を伴わない団体でも、ちょっと間違うと、そんな事に陥って仕舞うことが多いです。私は、又原点に返って音楽が好きな人達と、細々と続けて行こうと考えました。そして、夏休みになって仕舞いました。E音会も夏休みです。
 この夏休みの間に、今後のE音会の発表にとって、これだ!と思える事が有りました。私が、もう10年近く色んなコンサートでおつき合いさせて頂いていて、子供の城児童合唱団の指導者で、ダウン症、自閉症の子供達のリトミックの講座も持っていらっしゃる、吉村温子さんと北区の障害児(障害者)の為のコンサートを8月の初旬に一緒にやることになって居ました。そのコンサートに、「ハンドベルの子達も参加したら」と誘って頂きました。E音会が出来た当初から、E音会の話を吉村さんにしていましたし、リトミックでハンドベルを取り上げている、と言うことも有ったのでしょう。とは、言ってもE音会の子供達も何だかはっきりしない時期で、障害者がお客さんという状況にちゃんとした認識を持って参加出来るか不安でした。そこで、E音会の保母さん二人と中学2年生に声を掛けてみました。中学生は4人参加する事になりました。そして、一緒に2回リハーサルも出来ました。団地の外の子達と交流が持てた事、そして、障害者の皆さんが全身で音楽を喜び楽しんでいる姿に接する事が出来たこと、で参加して良かったなあと思いました。華やかな発表も練習の励みになりますが、色んな人達との交流の為の発表という位置づけを忘れていたなあと思い至りました。有り難かったです。

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