音楽って何だろう その9

 音楽を聴いて(見る要素も)感動する事について考えて来ましたが、抽象的な話からもっと具体的な、E音会のコンサートにまつわる話を思い起こしながら雑感と言う事で色々考えてみます。

 この一年間、将に暗中模索で取り組んで来たE音会のハンドベルクラブなんですが、「きゅりあん」でのコンサートをやるまでの一年間を振り返って見る事で、そしてどんな状態で「きゅりあん」のコンサートを迎えたのかを思い起こす事で、E音会の今後の活動にとって何かが見えてくる様な気がしています。そして感動の問題にも少し迫る事が出来るかも知れません。これから暫くはこの事でコラムを続けようと思います。

 先ずは、この1年を振り返ってみます。まず始めた当所の事から。

 「八潮の子ども達に良い音楽を聴かせる会」から「八潮の子ども達と良い音楽を作る会」に変わるなかでハンドベルに取り組んで来た経緯や考え方などは、他の所で書いて来ましたので割愛しますが、今の社会状況(特に狭い世界で生活している子ども達)の常としてメディアで流布されていない物に対して興味を示さず、最初はなかなか子ども達にハンドベルをやる事の意味が浸透しませんでした。何時も何人か入れ替わるメンバー、楽譜に理解のある子無い子(ピアノを習っているというのが、楽譜を理解しているのとは違うと言う事も分かりました)、集中出来ない子がばらまく混沌、男の子が来ない悩み(これは今でも)、等々数え上げたら切りが無いほどの事態の中で、ハンドベルの取り組みなど瓦解してしまう予感に苛まれました。

 そういう中で唯一の救いになったのは、西保育園でハンドベルの取り組みが続いた事と、その親達も子供がやっている事を自分もという気持ちになってくれて、大人と小学生の混合グループが定着し始めたことでした。そして、もう一つ、八潮児童センターの館長がハンドベルの活動に理解を示して下さって、児童センターでもハンドベルクラブを立ち上げて下さった事も大きな勇気を与えてくれました。又その時北小学校にいらした、音楽の酒井先生も色々と協力(ハンドベルを貸して下さったり、子供達にクラブの事をお知らせして下さったり、校長先生、教頭先生に会の事を知らせて下さったり、、、etc)して下さって、今思うと、たった一年間でも実に多くの地域の人達に支えられて来たなあと思います。これらの事が無ければハンドベルクラブは本当に瓦解していたかもしれません。今さらながら感謝!!!!!

 さて、本題に戻りますが、勿論E音会としては開かれたサークルを目指して居た訳で、何時でも新しい人が参加する事は大歓迎の反面、定着したメンバーと曲を仕上げていく喜びも大切にしなければという思いもありました。メンバーの定着はその意味では、新しいメンバーとの差が出来るという、ある種のジレンマを生む事は確かです。その事でも色々試行錯誤しました。グループ分けしてみたり、パートを新旧のメンバーのダブルキャストにして新しい人の負担を減らしたり、等々皆のアイデアも取り入れながら、そういう調整に随分時間を掛けました。何しろ全員そろってベルを振らないと、そして気持ちを揃えて正しく振らないと何がなんだか解らない音楽になってしまうからです。折角だから自分達のオリジナルな音楽に取り組みたいと言う気持ちも有りましたので、カラオケを作って練習する事が当たり前の様になりました。

 そして、当たり前の事なんですが、メンバー一人一人が違った性格を持っていて、その要素も加味しての調整となると、大変な事でした。

 実際色々な子供達がいました。例えば、途中参加の小学生で中々上手く行かない子の中で「こんなの音楽じゃない!」(負け惜しみ?)と言い放って止めた子、出来ないなりに工夫して克服した子、何でも直ぐ出来てしまって逆に情熱が持続しない子、自分の気持ちをなかなか表情に出せなくて本当にやりたいのか解らない子、大人から何か言われると固まる子、もっと言えば間違いを指摘されてやり直し練習で極端に緊張してしまう子、練習している時はとっても楽しそうなのに練習の参加にムラのある子、自分の事よりも他の子の事が気になってしまう子、等々ちょっとマイナスイメージの部分を列挙した帰来が有りますが、勿論皆一人一人は良い子?だと思います。しかし人が沢山集まって何かを作り上げて行こうとすると、これらのちょっとした性格が色濃く表面に出て来てしまって、調整を取る障害になるのは事実でした。

 「今の子はあまり叱られた事がないから、、、、」(私は今の親もそういう人が増えていると思いますが、、、、それは兎も角、ハンドベルの練習で音楽的な所では絶対叱らない、そのかわり気持ちとか態度に対して叱る時は叱る様に気を付けて来ました)「会費を取らないから気持ちが適当になるのでは、、、、、」(お稽古事の、金を取っているからしっかり子供の面倒をみてくれるんだろう、と言うマヤカシに一石を投じたいという気持ちがあってE音会を始めたので、、、、、)「楽しみをもっと見せてあげたら、、、、」(それはその通りです。ただし今の上げ膳据え膳のお楽しみでは無い、良いものを時間を掛けて作り上げた達成感が一つの楽しさなんだと言う事もE音会のテーマです。)など沢山の意見も寄せられました。取りあえず、人前で発表するという目標を作る事で、この混沌としたサークルを何とかまとめよう。これがE音会が出した一致した意見でした。最初の本格的な取り組みは地域センターフェスティバルでの発表という事になりました。その話と前後して少しづつ中学生も参加してくれる様になり、大人と小学生の間を埋めてくれる存在として、大変嬉しい事でした。

 そして、いよいよ本番と言う事になりますが、続きます。

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