音楽って何だろう その5

 前回の続きです。分子に来る数は拍子と言うことでしたが、理論的にはどんな数字でも良いのです。ただ、小節を区切るとき、あまり数が多いと数えるのが大変ですから、自ずと使う数は限られます。よく出てくるのは、2/2, 3/2, 4/2, 2/4, 3/4, 4/4, 2/8, 3/8, 4/8 などで、たまに分子に5、7、11、なんて数字も出てきますが、多くの場合2+3、3+2で5拍子に感じたり、4+3、3+4で7拍子を感じたり、4+4+3、4+3+4、3+4+4で11拍子を感じる、と言うことが多いです。これ以上多い数になると、1小節でまかなうより、それぞれの小節に拍子記号を付ける方が読みやすい譜面になります。特殊なもので良く使われるに、6/8、9/8、12/8、、、と分子が3の倍数になっているものがありますが、これは、3つの音符の固まりを、1拍と感じながら演奏するときに使います。考え方としては、例えば4/4拍子の4分音符分の1拍を8分音符の3連符で表すのと、12/8拍子の8分音符3つの固まりは同じ事なんです。

 これで拍子のことは理解できたと?思いますが、ここで大切なのは、1拍というのは、分母で決められた音符を基準にして考えるということです。音符というのは、あくまでも相対的な物ですので、分母で決めた1拍に相当する音符をどの時間の幅にするかでその曲のテンポ(速度)が決まるのです。前回言いました様に、♪=120なんていう表示は、8分音符を基準になる1拍として感じながら、それの時間の幅を0.5秒取りなさいね、という意味なんです。そうすると、全音符が4秒、2分音符が2秒、4分音符が1秒、16分音符が0.25秒、32分音符が0.125秒、、、、と成る訳でして、そう考えれば「ナアーーーーンダ!」てなもんでしょう。     

 よく、16分音符とか32分音符に恐怖抱く人がいますが、あくまでも相対的なものですから、あまり嫌わないで下さい。世の中でも4、9、13、なんて数字も嫌われ者ですが、数字にしてみれば迷惑な話だと思いませんか。彼らは実に色々な所で黙々と働き人間の役に立っているのですからね。これは、昔から沢山の人が言って来ていますが、謂れのない、偏見、思いこみ、差別、ほど愚かしいことは有りません。皆さんもう一度胸に手を当てて、、、、、しましょう。

 さて、リズムという言葉が有りますが、これは、先ほど出てきた「基準となる1拍」を、掛け算したり割り算する事なんです。要するに、♪=120と言う表示では、8分音符を基準になる1拍として感じながら、それの時間の幅を0.5秒取って、全音符が4秒、2分音符が2秒、4分音符が1秒、16分音符が0.25秒、32分音符が0.125秒、、、と言う話のことです。1拍の時間の幅さえ解っていれば、リズムを読みとるのはそんなに難しいことではありません。むしろ決められた時間の幅を正確に感じていることの方が、難しいかもしれません。よくリズム音痴なんて言いますが、私が今までいろんな人を見てきたなかでは、決められた時間の幅を正確に感じられない、テンポ音痴という方が多いです。正確に基準となる1拍の時間の幅を感じることが出来れば、後はそれを、何等分とか何倍というトレーニングすれば「リズム音痴」はある程度矯正出来ます。

 「基準となる1拍の時間の幅を正確に感じられる=テンポ感」、これがダメだというのは、ちゃんと歩けない、歩かない事に起因しているかもしれません。勿論足が不自由な音学家ですばらしいテンポ感をもっている人もいますので、一概には言えませんが、少なくとも何時もだらだら歩いたり、ちゃんと足を上げて規則正しく歩かない人は、テンポの感じ方が下手だ、という傾向はあります。軍隊のように、特にナチスドイツや、大日本帝国陸軍などの行進はゾッとしませんが、外国で日本人が歩いているのを見ると何時も思うのですが、回りのその国の人達(これは別に欧米に限りませんが)と比べて、だらだらした規則性の無い、醜い歩きかたをしています。アジア人の中でもあまりにひどいので、すぐ日本人と解ります。これは、ちょっと、真剣に考えた方が良いと思います。そんな親の歩き方は、子供にうつりますよ。

その6では、いよいよ、今までお話した音楽の基本的約束事を踏まえて???音楽に於ける感性のお話になります。簡単にいえば、音楽で気持ちを表現する事にまつわるお話です。

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