アメリカツアー面白話 28
「The Bronx」のガソリンスタンドで何十人ものヒスパニック系の人たちに囲まれて、どうしたらいいのか途方に暮れていたら、ケニーさんはその人達をかき分けてガソリンを入れています。そして私たちの車のところに来て、「どうしたの?入れないの?」と聞いて来るではないですか。まあケニーさんが大丈夫なのだから、と言うことで若いスタッフは勇躍決心して車から降りてガソリンを入れています。その彼にヒスパニック系の人たちはなにやら一生懸命訴えています。かなり必死になっています。ただ危害を加えたり物乞いする様子はないので安心しました。そして暫くすると潮が引くように車の側からいなくなりガソリンスタンドの外に出てたむろしています。スタッフの彼が戻ってきて言うには「彼らは仕事を探していて、このガソリンスタンドには工事や建築系の仕事に行くトラックや車が給油にくるので、仕事にありつこうとトラックが入ってくると売り込みに殺到するらしい」とのこと。ケニーさんは「あの人達は仕事が欲しいだけで悪いことはしない」と言っています。兎に角ホッと一安心です。
 さて、ガソリンもたっぷり入れていざ空港へ、ですが、その前にレンタカー屋さんに寄ってトラックを返さないといけません。これが又解りづらい所にあって、結構探すのに時間が掛かりました。空港の近くとはいえ後一時間強で飛行機は飛んでいきます。さっさと手続きすれば大丈夫と、皆で励まし合いながら待っているのですが、どうも借りるときに無かった傷がある、とクレームが付いたようです。ここは最悪全員乗り遅れるよりもスタッフの若者一人だけが処理をして、残りは空港に向かうことにしました。搭乗手続きを終えたのが30分前でそこから気の遠くなるセキュリティーチェックをかいくぐって、ぎりぎりまで残務処理をしている彼を待ちましたが最終搭乗案内には間に合いませんでした。結局ケニーさんが彼を待って遅れてLos Angelsに来ることになりました。私の人生でこれほどあわただしく、スリルとサスペンスに満ちた「午前中」はありませんでした。座席に座ったら一日が終わった様な疲れがどっと出てきて着くまで眠りました。何しろアメリカ大陸の東の端から西の端に飛ぶのですから時間が掛かります。
 夕方の4時にL.A.の空港に着くと今から30年ほど前に世界中で支持を得たジャズヒュージョンバンド「HIROSHIMA」で和太鼓とパーカッションを担当していたJohnny Mori(ジョニー森?)さんがわざわざお迎えに来てくださいました。ジョニーさんは今やどう見ても小太りのどこかの会社の経営者みたいな感じです。一世を風靡したバンドのメンバーの面影は殆どありません。何処から見ても日本人ですしいつもにこにこして良い感じです。ただ殆ど日本語は日常では使っていないらしくて何処まで分かっている疑問です。こういうときが一番危なくて、滅多なことを口走ると実はジョニーさんは理解していた、なんてことも有るので要注意!案の定空港からLittle Tokyoに向かう途中で「HAMADA san arega HOLLYWOOD desu」などと話しかけて来るではないですか。危ない危ない。
 さてL.A.では14日から21日の帰国まで長期滞在はLittle TokyoのMIYAKO Hotelです。最後のアメリカでゆったり出来そうです。それにしても空気がからからだ。続く 

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