アメリカツアー面白話 24
 さてさて又大好きなNew York City の近くに戻ってきました。Connecticut(コネチカット)州のStamford(スタムフォード)と言う町に5日間滞在します。Connecticut州はNew York Cityで成功を収めた人が住むところ、と言われているそうですがさすがにStamfordに付くまでに大きなお屋敷に沢山出くわしました。Stamfordは都会なので住宅はあまり有りませんが落ち着いた中規模の都市という感じです。New York Cityの東側にあるのですが、日本で言えば関西の「芦屋」のイメージかな。電車を使ってNew Yorkに行くとかの有名なGrand Central という駅に着きます。(映画アンタッチャブルで出てきました)今や、New Yorkの大きな駅はテロ対策で何処にでも州兵立って警備しています。町中に兵士が立っているのは良いものじゃないのですが、どういう訳かNew Yorkの州兵は女の人が多いせいもあるのかもしれませんが嫌な感じがしません。まず兵士がリラックスしていて、表情が軟らかくて、これで警備になってるの、という感じです。その所為かお年寄りが兵士に道を尋ねている光景によく出くわしました。「おいおいこの人達はそのために立ってるわけじゃないだろ」と思うのですが、兵士の方も慣れたもので優しく道案内してるのを見ると、やっぱりNew York Cityが好きだ!と思ってしまいます。
 2日間オフになったので知人の家に泊めてもらいに行くことにしました。
 知人はもうずうっと長年にわたり(私が知っている限り少なくとも15年以上)New YorkのQueens(クィーンズ)という地区のほぼ中央にあるKew Gardensという所に暮らしています。JFK空港とLa Guardia(ラガーディア)空港を結ぶ道の真ん中とういところでもあります。彼は後少しで還暦になるのですが、細密画というジャンルのイラストレーターで、この分野では世界的にも第一人者と言われていたそうです。どういう絵なのかというと、医学書などで細胞の拡大図や細菌やウィルスの拡大図が出てきますが、そういう絵を描いていたそうです。日本人の手先の器用さも有るのでしょうが、ある時期まで人間の手書きのほうがCGより優れていたのですが、ついにCGに抜かされてしまってとんと仕事が減ったそうです。どの辺で抜かされたのかと言うと、CGはついに動画として細胞やウィルスが動いている様を表せるようになった事なのです。手書きの方が未だに細密画としては優れているのでしょうが、医者達も医学書を見て調べるよりコンピュータで調べることが殆どになって、それで仕事が減ったそうです。まあ減ったと言っても何かしら食っていくだけの稼ぎは有るそうです。何しろ随分若いときに今住んで居るマンションを購入したそうなので、住むところには困らないそうです。大きなリヴィングルームの他にゲストルームが二つと彼の寝室、風呂もトイレもそれぞれ二つあって、日本で言うとオクションなどと言うたぐいのものですが、こちらでは中級の物件だと言っていました。彼は奥さんと子どもを日本に残してこちらに来て、ついには離婚して天涯孤独なのだそうです。「自由気儘に生きているから最高さ」などと言っている顔から寂しそうな陰が見えてきたのはちょっと切なくなりました。だってどう考えたって、だだっ広いマンションに一人で、しかも外国で、しかももうすぐ還暦で、私なら耐えられないだろうな、と思うのでした。その夜は大いに二人で飲みました。 続く

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