アメリカツアー面白話 21
 Maine州のBrunswickの次に訪れるのは地図的には真横に西に行けば着いてしまうNew York州のSaratoga Springsと言うところです。ここで気を付けないといけないのはNew YorkとNew York州では全然違うと言うことです。勿論New YorkはNew York州の南外れに有りますが、その北側にカナダまで広がっているのがNew York州なのです。どちらかというと素朴な自然豊かな田舎の州と言う感じです。11月6日にこの町に入ったのですが辺り一面見事な見事な紅葉の世界です。日本では山が紅葉すると言うイメージですが町中辺り一面至る所が紅葉です。そしてそれが綺麗のなんのって、この時期天気が良い日が続くとのことで青空とのコントラストは何とも言えません。改めてアメリカ人は自然と上手に共生しているなと思いました。
 そして更に良いなあと思ったのはコンサート会場のSkidmore Collegeは人文系単科大学(学部と学科を増やしているので単科大学のイメージとは遠いのですが)ですが自然豊かな、まるで別荘地の様なところにあります。この大学は人文系でも芸術系が充実しているようですが、人里離れた所にあってしかも立派なコンサートホール(Filene Recital Hall)があって、そこに町の人たちが聞きに来ると言う環境は理想的です。勿論次代の最先端を体現する大都会に有る芸術系大学も必要ですが、芸術は浮世離れしてないとだめだ、という側面もあります。その意味ではこの大学は理想的な立地条件です。町まで車で15分程度ですが、町から大学に行くまでに徐々に徐々に自然豊かな環境になっていきます。その間に緩衝地帯のような住宅地があってその住宅の立派なこと。自然と共生しているのにそれぞれがよく見ると立派で金はかかっているのです。とは言ってもビバリーヒルズの金にものを言わせたような立派さでは無く、自然との共生という環境を作っていると言うのに感動します。思わず写真をパチパチ撮ってしまいました。今にして思えば、東洋人の変なのがうろうろして写真を撮りまくって、なんて思われていたのかもしれません。
 コンサート終了後の宿泊施設にも感動でした。大学の施設なのですが、全て木造で出来ていて、ベッドや家具調度のたぐいも全て時代物で揃っているのです。まさに西部劇や戦前のアメリカ映画に出てくる家具調度そのままなのです。逆に現代でこのような古い屋敷が映画に出てくるのは殆どの場合恐怖映画です。床もぎしぎし言うし部屋の扉も自然に閉まったりして、単純でゲスな私たちは直ぐにそちらの方に発想がいってしまって、しばらくは大人げなく「お化け」話で盛り上がりました。おかげで他の宿泊客に「もう少し静かに」と言われてしまう始末です。屋敷に住み付く霊のせいか早朝に目が覚めてしまって、辺りを散歩しましたがやはり都会的な田舎というか田舎的都会というか、いかにも「欧米」的な素敵な町並みでした。
 次の日はNew York州の州都Albany(New York Cityじゃないのが面白いです)の近くの町Schenectadyという町のUnion Collegeでのコンサートです。Saratoga Springsからは50km程度の移動なので非常に楽な日程です。景色も空気感も私の生まれ故郷の北海道的で久しぶり非常に和やかな癒される気持ちでいられました。人って結局生まれ育ったある時期の「刷り込み」が非常に重要なのだと思いました。好きな環境だと外国に居ても落ち着けるのですから。続く。

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