アメリカツアー面白話 19
 警官に怒鳴られて手を上げながら今のは「Put out you’re hands」と言っていたのだろうなと思い返していました。事態は実に深刻な状況なのに割と落ち着いていられるのに我ながら驚きました。むしろ、もし警官の言っていることが直ぐ理解できなくてちゃらちゃら手も出さずにいたら撃たれてもしょうがなかった、と後で思ってゾーーーットしたのは言うまでもありません。まあ「現場」というのはそんなものなのでしょうね。さて、手を上げている私に対して「What are you doing ?」これは直ぐに分かりました。兎に角自分は何者なのかを言わなくては!「I’m musician from Japan. We’re going to Maine for concert tour.」と通じようが通じまいが必死でしゃべりました。何とか私の言いたいことは分かってくれたようで、トラックを指さし「Is this yours ?」「Yes. My member is driving. Many instruments are inside. I’m waiting my member.」警官の顔が少し柔らかくなって「Stay here!」と言い残して店の方に走って行きました。まあこれで誤解も解けたかな、どう見たって私が悪い人には見えないだろう、なんて自分に都合の良いように考えながら、そして「やっぱりアメリカのオマワリは迫力有るし鍛えられているしカッコイイナ」なんて人ごとのように考えて皆が来るのを待っていました。
 そうこうするうちに、警官数名と一緒に皆がやってきて、私に比べると皆深刻そうな緊迫した顔をしています。トラックの中を念入りに調べられて、皆の「ID」を警官に見せて身分の確認をして貰う作業を始めます。日本国籍は二人なのでこの二人はパスポートで問題は解決。アメリカ国籍の日系の人たちとグリーンカードの日本人とは警察署に問い合わせして念入りに調べられています。後でケニーさんが言っていたのですが「私たちの誰かが、何か駐車違反でもしていたら警察署に連れて行かれて留置されただろうな。誰も違反の記録が無かったのでラッキーでした。」とのこと。さっきアメリカの警官はカッコイイと思っていたのは前言撤回で「なんて理不尽な!」と言う結論になりました。やっと疑い(この時点で何の嫌疑なのかは分かっていませんが)が晴れて開放され、私に銃を向けた警官以外は疑って悪かったねと言う態度ですが彼だけは最後まで文句有るか、と言う態度を取っていました。彼らを見送って私たちも出発です。
 移動する車の中で私以外の人たちが何をされたのか色々話してくれました。先ずは全員壁に手をついて頭を下げて両足を広げて身体検査をされたそうです。全くの犯罪者扱いです。そして私の時より根掘り葉掘り色々聞かれたあげく私の居た所に全員で移動したようです。そして肝心の何の疑いで取り調べられたのかというと、私たちが入ったショッピングセンターはこの一週間の間に3回も窃盗団に商品を大量に盗まれて、それは東洋人の集団であること。乗用車とトラックで乗り付けていること。と言うことで、特別警戒中だったところに私たちご一行様がのんきに訪れたのでした。恐らく東洋人の窃盗団は中国か韓国の連中なのですが、白人達にとって私たちも立派な東洋人です。まあ警官達も私たちが日本人や日系アメリカ人のグループと分かってからは急に柔らかくなっていました。ただあの警官だけはケニーさんが最後に「あの取り調べ方は無いでしょう。」と言うと「私たちのやり方に文句言うな!」と凄んだそうです。OH! 続く。

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