アメリカツアー面白話 16
 10月30日にコンサートが終わって、次の31日はアメリカ人が宗教行事なのに馬鹿騒ぎする日です。ハロウィンです。この日なんとフィラデルフィア交響楽団のコンサートチケットを私たちのコンサートの招聘元が進呈してくれるとのこと。ヴェリゾン・ホールでの「ハロウィンコンサート」?!?!?らしい。ナンジャイナ!と思いながらもアメリカの3大オケと称される管弦楽団は聞きたいので出かけることにしました。何しろフィラデルフィア交響楽団とストコフスキーの指揮で「オーケストラの少女」と言う映画が有名になって以来その地位は揺るぎないものになっているのです。中心街の大きな建物の中に大きなホールが有ります。ここでの演奏会の予告は建物に大きなポスター(馬鹿でかいです)が張り出されていますが一際目を引いたのはヴァイオリニストの五島みどりさんでした。日本にいるとなかなか分かりませんが長年にわたってアメリカでは絶大なる人気を博しているようです。
 さてホールに着くとそこには仮装して(かなり金がかかっている)着飾った観客が集まっています。なるほど、ハロウィンコンサートにはこんな馬鹿騒ぎをして聞きに来るものなのかと納得してプログラムに目を通すと「はげ山の一夜」等のお化け関連の曲がラインアップされています。だんだん意味が分かってきてステージに目をやると、打楽器奏者はだいたい本番前からステージで調整しているものですが、その連中までもが仮装しているではないですか。要するに演奏する方も聞く方もおふざけをするコンサートだったのです。しかも「オカマ」(当地では結構有名らしい)の司会とコメディアンによる寸劇付きで、相当どたばたしたコンサートです。指揮者は怪傑ゾロの格好をしているし、楽団員全てが思い思いの格好で仮装しています。日本人には過剰すぎる悪ふざけに見えますが、全体がそうなのでだんだん慣れてきます。まあ演奏の質を云々するコンサートではないことが分かって、それなりに楽しみました。こんな馬鹿なことを天下のニューヨークフィルもやっているとのことで、アメリカのサービス精神は「疲れを知らない」ことにあらためて思い知らされました。それはそうと先ほど五島みどりさんの話をしましたが、このオーケストラのコンサートマスターも韓国人の女の人でした。しかもおなかに子どもがいるのに頑張っていました。かように今や東洋人の特に女の人の活躍に目を見張るものがあります。この現象は何なのでしょうね?21世紀は女の世紀なのかもね。
 さて次の日はフィラデルフィア観光に繰り出しました。先ずは面白い所に行こう、と言うことで現地の人に聞いておいた「面白い」所、「チーズバーガー」戦争地域に出かけました。フィラデルフィアのかなり危なそうな地域を過ぎて汚らしい街全体がイタリアの移民で構成されている地域に来ました。鋭いバッテンで交わる交差点の道を挟んで鋭い三角の角を突きあわせたようにハンバーガー屋が2件向かい合って立っています。それぞれが「元祖」を競い合っているそうで、なんだか昔日本のラーメン屋も同じように競い合いをあおって結果として両方に客が増えた、と言うことがありましたが、それのアメリカ版です。味は体に悪そうなものでした。 続く。

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