アメリカツアー面白話 10

 その日のうちにNorfolkからWashingtonの近くのMaryland州 Adelphiまでまたまた長距離ドライブです。2時頃出発して7時か8時には着くでしょう、とのことで若い人の運転にお任せして後ろの座席でしばし爆睡です。ふと目を覚ますと、もう真っ暗でワシントンの町中の高速道路を走っていました。有名な建物を見ながらもうすぐのはずの目的地を目指します。高速道路をおりて、さあもうすぐだね、というところまで来ているはずなのになかなかホテルに着けません。それこそ山で遭難して、どう歩いても何回も同じ所を通ってしまいにっちもさっちもいかない状態になってしまいました。暗闇の中でも皆「又ここかよ」と思うほどの堂々巡りでした。
 なぜそんなことになってしまったのでしょう。車社会のアメリカでは、今ちょっと気の利いた若者達は、インターネットでドライブルートを検索してプリントアウトして自動車で旅行します。一番利用されているのがYahooのナビです。このルートマップは実に親切で、近道やら、渋滞時の抜け道やら、いろんな情報が載っていて有効に使えば便利この上ないものです。必然皆信頼を寄せるので間違っているはずが無いと思いこんでしまう結果ちょっとした間違いで今回のように大変な事になります。ホテルの電話番号が分かっているのだから聞いたら分かるだろうに、と思うのですが、恐らくその様にしたと思いますが、すでに思い込みが先行した頭では肝心の所で違う方を選んでいたようです。このとき先導していたのはスタンフォード大学を卒業してコンピューターソフトの開発をしているものすごく頭の良い人でしたが、そういう人に限って地図を疑うのは最後になるようです。よく考えてみたら合点がいくことで、学業優秀と言うことは教科書をまず把握してそれをいかに自分の身につけているか、が大切なわけで、その元締めになっている教科書を疑うのはもっともっと後の作業です。この場合地図は教科書なので当然地図を疑うのは最後になるだろうし、一度身につけてしまったものはなかなか切り捨てられないのでしょう。それにしても2時間以上は迷っていたと思いますので「頭が良過ぎることは決して良いことではない」と日頃の私の持論が正しかったことに妙に満足していました。
 次の日はオフだったので、皆で連れ立ってWashington DC(ワシントンディーシー)観光に出かけました。ホテルはMaryland州のAdelphiというところですが、そこから地下鉄(最初は地上の高架線であるが)に乗って30分もすればスミソニアンのある真下の駅に着きます。もちろんWashington DCは東京都と同じ特別区として首都の役割を与えられている町で、Virginia州とMaryland州の境に人工的に作られた町です。私たちのホテルはWashington DCの北側のMaryland州ですからまあ大宮から東京まで行く感じと思えば良いでしょう。
 その日は夕方に招聘してくださった大学の教授のホームパーティーに出かけることになっていて、あまり時間が無いのでスミソニアン博物館だけに焦点を絞って観光です。と言ってもスミソニアンだけでもちゃんと見ると一週間はかかりそうな規模です。何しろステーキにしろハンバーガーにしろアイスクリームにしろ車にしろ世界で一番大きいのが好きな国ですから。     続く

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