アメリカツアー面白話 6

 先ほども乗り合いバスの様な飛行機という表現をしましたが、ハワイでは島を行き来するのは殆ど飛行機なので飛行機がバスの感覚です。それが証拠になんと島々を就航する飛行機が自由席なのです。手軽な感じはこのことからもわかります。おそらく政府の保護もあるでしょうから運賃も格別に安いはずです。ところがハワイの人たちにとっては手軽で便利な飛行機のはずですが今のアメリカではもはやそれは許されません。テロの問題以降飛行機のチェックはとんでもなく厳しいので、便利なはずの飛行機で移動することがとてつもなく煩わしいものになっています。しかも私たちは山のような楽器を手荷物で運ばなくてはならないので、その手続きだけでも大きな時間と労力を費やされます。貨物便で大きい荷物を運び(高い運賃がかかります)それ以外の荷物は手荷物扱いで経費を抑えようとしますので、必然早くから空港に行って、手荷物の検査を受けて(今はグループでの受付はしてくれ無くて必ず特定の個人の手荷物として預けますので預ける方も受け付ける方も大変です)預けます。手荷物が重量制限を越えたら機内持ち込みで対処しますので、荷物を預けた後で再度機内持ち込み手荷物の検査があって、気が遠くなるような手続きの後でやっと飛行機に乗れます。現地に到着しても手荷物が全部届いているかチェックして、さらに荷物は開けられて検査されているので壊されていないかチェックして(壊されていても保障はしてくれないそうです)レンタカーを手配して積んで、この繰り返しです。そしてこういう面倒なときでも、アメリカらしい(ハワイらしい?)のんびりというか、ずさんというか、おもしろい事がありました。カウアイ島の次のマウイ島のコンサートが終わってオアフに帰ってきたとき、いつものように壊されていないかどうか楽器ケースを開けてみたら、なんとベビーシューズが入っているではないですか。しかも片方だけです。最初何事かと思ってびっくりしましたが、恐らく私の前の荷物の検査をした時靴を片一方だけ戻し忘れてしょうがないから、次の私の荷物に入れたのだと思います。日本じゃ絶対あり得ない事ですが皆で大いに笑わせて貰いました。
 そんなこんなで、とにかくハワイの島々をめぐっているのに、ハワイという優雅な名前からは程遠い、ひたすら荷物の心配と移動とコンサート会場での設営とサウンドチェックとで時間はどんどん過ぎていきます。そんななかで確実に取れるときに取っておかないといけないのは食事です。のんびりしていて食べ損なってしまうと大変です。今回私より年上の方が3人参加していましたが、最優先な事として「食べられるときに食べておく」は実践していました。今の若い人は「今は要らない」とか「今は食べたくない」などと優雅なことを言って食べることを疎んじている人が多いですが、食べられるときに食べておくは今後の課題だと思います。いろんな危機の時生き抜いていけないと思います。特に私たちはコンサートの前にケータリングが来てその時点で食べておかないと、コンサートが終わって片付けるともう11時近くなっていて食べ物を調達できないこともあるのです。最初私はそれがわからなかったのでおなかをすかして寝ましたし、コンサートの後のビールすら飲めないという悲劇にも遭いました。

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